Windows11では、PCの電源を切る方法として「シャットダウン」と「スリープ」がありますが、それぞれの動作には根本的な違いがあります。「結局どっちがいいの?」と質問をいただくことが多いので、ノートPCやデスクトップそれぞれの視点から選び方を解説します。
このページで分かること
- シャットダウンとスリープの動作原理とそれぞれの特徴
- ノートPCとデスクトップでのおすすめ設定と使い分け
- スリープ中に勝手に復帰してしまう場合の対策
- デスクトップパソコンはスリープを多めに使う
まず押さえるべき動作原理と結論
PCの電源操作にはいくつか種類がありますが、日常的によく使う「シャットダウン」と「スリープ」には明確な違いがあります。
まずは、両者の仕組みを簡潔に整理しておきます。そのほかの電源オプションについては以下の記事を参考にしてください。
関連:»シャットダウン・再起動・スリープの違い
関連:»隠れ設定の「休止状態」とは?
シャットダウンとスリープの仕組みをやさしく整理
「シャットダウン」と「スリープ」は、見た目は似ていてもPC内部で起きていることはまったく異なります。
「シャットダウン」とは?
すべての動作を終了し、OSやアプリケーションを完全に閉じ、電源供給も停止します。メモリ(RAM)に保存された情報も消去されます。
「スリープ」とは?
作業状態や開いているアプリはメモリ(RAM)に保持されたまま、消費電力を最小限に抑えて一時停止します。電源は完全には切れておらず、復帰は数秒で完了します。
シャットダウンは電源を完全に切ることができ、スリープは素早く作業を再開できる点が便利です。
ただし、スリープはバッテリーをわずかに消費し続けるため、長時間使わないときには不向きです。
短時間はスリープ、長時間・持ち運びはシャットダウン
基本的な使い分けの判断軸は「使わない時間の長さ」と「PCを動かすかどうか」です。
スリープが適している場面
- 1~2時間の休憩や会議など、短時間の離席
- 席を外すが、すぐ作業を再開する予定がある場合
シャットダウンが適している場面
- 数時間以上PCを使わないとき
- ノートPCを持ち運ぶとき
(カバンの中での誤復帰や発熱を防ぐ)
この判断基準を覚えておくことで、無駄な電力消費や予期せぬ不具合を減らすことができます。
ノートパソコンはバッテリーを最優先
ノートPCは持ち運びやすさが魅力ですが、バッテリーの消耗が気になる場面も多いものです。特にスリープ状態でも少量の電力は使われ続けるため、何も対策しないと気付かないうちにバッテリーが減っていることも。
基本はシャットダウンでOK
ノートパソコンの場合は基本的にシャットダウンを推奨します。少なからずバッテリーを消費するスリープとは相性が悪いと感じます。
電源(充電器)に接続した状態、かつシャットダウンが面倒という場合はフタを閉じるだけのスリープでも問題ありません。
スリープを多く使う場合はバッテリー消耗を抑える設定を行なっておきましょう。
スリープまでの時間と節電の最適化
スリープに入るまでの時間設定を見直すことで、無駄なバッテリー消費を防ぐことができます。特にバッテリー駆動中は早めにスリープへ移行させるのがポイントです。
スリープまでの時間を短くする手順
- Windowsキー+Iで「設定」を開く
- 左メニューから「システム」を選ぶ
- 「電源とバッテリー」をクリック
- 「画面とスリープ」を開く
- 「バッテリー駆動時」のスリープ時間を短めに設定
必要に応じて、画面のオフ時間も調整して無駄な電力を減らすことも効果的です。
勝手にスリープ解除される要因の止め方
ノートPCをスリープ状態にしていても「気づいたら勝手に電源が入っている…」そんな経験がある人も多いかもしれません。この現象の主な原因は「デバイスのスタンバイ解除」や「スケジュールされたタスク」にあります。
スリープ解除の原因を止める手順
- Windowsキー+Iで「設定」を開く
- 「Bluetoothとデバイス」→「デバイス」をクリック
- 一覧からスリープ解除を許可したくないマウスやキーボードを選ぶ
- 「追加設定」または「関連設定」の中からデバイスのプロパティを開く
- 「電源の管理」タブを選ぶ(表示されない場合もあります)
- 「このデバイスで、コンピューターのスタンバイ状態を解除できるようにする」のチェックを外す
スリープ解除タイマーを無効にする手順
- Windowsキー+Iで「設定」を開く
- 「システム」→「電源とバッテリー」を選択
- 画面下の「電源の追加設定」をクリック(コントロールパネルが開く)
- 現在使用中の電源プランの「プラン設定の変更」をクリック
- 「詳細な電源設定の変更」をクリック
- 「スリープ」→「スリープ解除タイマーの許可」を「無効」に設定
これらの設定を行っておくことで、夜間や持ち運び中に勝手にPCが起動してしまうトラブルを防げます。
デスクトップ/ゲーミングPC場合
デスクトップやゲーミングPCは、ノートPCと比べて電源管理の考え方がが少し異なります。
日常運用はスリープ中心、不調時はシャットダウン
デスクトップPCやゲーミングPCでは、ノートパソコンよりもスリープを活用することをおすすめしています。
スリープとシャットダウンの使い分けの目安
- 普段の作業の合間や短時間〜長時間の離席
→ スリープ - ドライバーを更新した直後や動作が不安定な時
→ シャットダウン - Windows Updateのあと
→ シャットダウンで完全に適用させる - 電源周辺のトラブルやUSB機器の不具合
→ シャットダウンでリセット
デスクトップパソコン全般というと主語が広くなってしまいますが、グラフィックボードを搭載するゲーミングデスクトップなどは再起動に必要な瞬間的な電力が大きい傾向にあります。
スリープであればノートパソコンと同様にメモリメモリ内のデータ保持のみ。
よって、頻繁にシャットダウン→起動を繰り返すくらいであれば、スリープをたくさん使う方が電力の節約になることも多いです。
まとめ|あなたの使い方に合う電源オプションを選ぼう
Windows11では、シャットダウンもスリープも用途に応じて使い分けることが可能です。
短時間の離席ならスリープ、長時間使わない場合や不調のリセットにはシャットダウン。さらに、ノートPCではバッテリー消費を意識し、デスクトップではスリープ省電力性活かすというように、自分の環境(使用している機種)に合わせた電源管理が大切です。