Nintendo SWITCHやPlayStation 4で FPSタイトルをプレイする際にコントローラーではエイム(狙い)が定まりにくいと感じている方は多いと思います。そんな時には家庭用ゲーム機にマウスキーボードを接続できるコンバーターを利用することでプレイングが改善するかもしれません。今回はGamesir VX2 AimBoxのレビューです。
家庭用ゲーム機でのコンバーター利用について
レビューの前に、今回ご紹介するようなコンバーターを使用することについての注意です。
注意
Nintendo SWITCHやPlayStationシリーズなどでコンバーターを通してマウスキーボードを使うことは、ゲームによっては禁止行為に該当することがあります。
一般的にコントローラーと比較した時にマウスキーボードでプレイする方がエイムの正確性が高いとされており、 PCとコンシューマー機のクロスプレイが可能になっているゲームタイトルではコントローラーでプレイするプレイヤーだけにエイムアシストがつくこともあるほど操作感に違いが生まれるものです。
レビュー記事内に登場するAPEXでは明確に「コンシューマー機でコンバーターを使用したマウス&キーボードでのプレイは禁止行為」とされているので、今回は射撃場のみの検証とします。禁止されている機器を使ったプレイはゲームバンスを崩してしまうだけでなく、バランス崩壊によってゲーム自体の寿命を縮めてしまう行為でもあるので、対人のオンライン対戦での使用が厳禁です。本記事内容は、コンバーターの使用を推奨する内容ではありませんのでご理解いただければと思います。
GameSirとは?
GameSir(ゲームサァ)とは2010年に中国で生まれたゲーミングデバイスメーカーです。今回ご紹介させていただくのはiPhone専用のゲーミングコントローラーですが、パソコン用、ゲーム機用など様々なデバイス向けの周辺機器を販売しているメーカーです。
日本国内ではあまり聞きなじみのないメーカーかもしれませんが、Twitterフォロワー数も32万人を超えており、コアなファンも多い世界的な有名メーカーなんです。
ゲーム用のデバイスメーカーと聞くと「特定のゲーム機専用コントローラーの互換品」や「マウス&キーボード」を思い浮かべると思いますが、今回ご紹介するような革新的なデバイスを作っているメーカーなので、ゲーム好きの方は要チェックです。
家庭用ゲーム機でマウス/キーボードエイムを可能にする「Gamesir VX2 AimBox」
こちらは公式サイトに掲載されていた画像ですがPlayStation5をマウスキーボードで操作していることがわかります。
PlayStation5に直接つながれているのは、今回ご紹介するGamesir VX2 AimBoxのみとなっておりAimBoxにマウス、キーボード、コントローラーが接続されています。写真を見る限りマウスはワイヤレスのものを使用しているようですが一般的なUSB接続のものであればどんなマウス&キーボードでも使用が可能なようです。
Gamesir VX2 AimBox 本体の外観
VX2 AimBoxの外観はこんな感じ。全体的にプラスチックのパーツで出来ていてちょっとチープなのかなとも思いましたが適度な重さもあって質感も悪くないです。格安で販売されているUSBハブなどと比較すると壊れにくそうだなと感じました。
前面にはマウスキーボードを接続するポートが左右で2個、中央にはコントローラーを接続するためのUSB端子がついています。
USBソケットは両差しタイプ!
このUSB ポート、ちょっと変な形をしているなと違和感もう感じたのでしっかりチェックしてみると、両面挿しに対応した特殊なUSBソケットが採用されていました。 現在はどちらの向きでも挿せる USB Type-C が流行っていますがパソコンの周辺機器はまだまだ USB Type-A が主流です。たまに見かけるUSB Type-Aの機器でも向きを確認できずに接続することができるこのポートは優秀で好きですね。パソコンや充電器全てのAボートにこれを採用してほしいぐらい。
側面にはヘッドフォンなどを接続できる3.5mmオーディオジャックも完備。マウスやキーボード、コントローラー、ヘッドホンなどゲームプレイに必要なデバイスをVX2 AimBoxに全て集約させることができるのでゲーム機周りの配線をすっきりさせることができます。
本体裏には製品型番などが書かれたステッカー。スマートフォンとBluetooth接続をしてでキーマッピングを変更できる仕様ということなので、国内で使用するための技適認証もしっかり通っていました。海外製品はまれに技適マークがないものがありますが、今回のはバッチリ。
Gamesir VX2 AimBoxの付属品
本体を含めた付属品がご覧の通り。
VX2 AimBoxの付属品
- VX2 AimBox本体
- USB-A to micro-B ケーブル
- USB-A to Type-C ケーブル
- 取り扱い説明書
- サポートガイド
- GameSirステッカー
- 合格証
価格帯を考えると本体だけかな?と勝手に思っていましたが、強度が高そうな編み込みケーブルの「USB-A to micro-B ケーブル」と「USB-A to Type-C ケーブル」が付属していました。これらがコントローラーやキーボードを直接つなげるときに使用するみたいです。(使わなくてもOK!)
ステッカーはもったいない病が発動していつも使うことができません。みんなこういうのどこに貼っているんでしょうか?
Switchに接続して「APEX」で機能検証
今回はVX2 AimBoxにゲーミングマウスとゲーミングキーボードを接続して超有名タイトル「APEX(エイペックス)」をプレイしてみます。僕自身FPSゲームはパソコンでプレイする派なので、Switch用のソフトを何一つ持っていないんです。そんな理由から今回は誰でも無料で遊べるAPEXのみの検証となってしまいますが、コントローラーエイムとマウスエイムの比較においては問題ないと思います。
VX2 AimBoxはSwitch純正のドックに直接接続しています。
VX2 AimBoxの左右のポートにマウス&キーボード、中央のポートに任天堂純正のプロコンを接続してプレイ開始です。
コンバーターなのにコントローラーを差すUSBポートがあるのはなぜ?
「なんでプロコンまでつなぐ必要があるの?」と疑問に思っていたのですが、VX2 AimBoxとは別でSwitchにプロコンを直接接続すると、コントローラー1にVX2 AimBox、コントローラー2にプロコンが接続された状態になるので、APEX起動中の操作はVX2 AimBoxに接続されているマウスとキーボードでしかできなくなってしまうんです。
初期マッピングではAボタンがCキー、Bボタンがスペースキーに割り当てられており、そのほかのキーマッピングをすべて把握してゲームプレイ以外(ゲーム起動やゲーム設定、ルーム選択)などの操作はプロコンでないと不可能なレベル。
こんな理由からマウス、キーボード、コントローラーのどれでも同時に操作できる仕様になっているんですね。
GameSir
Guangzhou Chicken Run Network Technology Co.,Ltd.無料posted withアプリーチ
各キーの割り当てを変更するときはGameSir公式のアプリをスマホにインストールし、VX2 AimBoxとスマホをBluetooth接続することで設定が可能です。
GameSirの公式アプリを開いたら、VX2 AimBoxを選択してBluetooth接続を行います。スマホ本体からの接続は必要なく、VX2 AimBoxが起動している状態であればアプリ内の操作だけで完結します。
接続すると、今現在どのボタンにどのキーが割り当てられているのかを確認できます。
アプリからボタン割り当てからマウス感度まで詳細な設定ができるので、普段パソコンでプレイしているプレイヤーであれば全く違和感のないようなマウス感度やキーマッピングを設定することができます。
Switch+VX2 AimBoxの組み合わせでプレイした率直な感想
さっそく、マウス感度を合わせてプレイしてみますが、冒頭の注意でもお話させていただいた通り射撃場のみでの検証となります。
実際に使ってみた結果ですが…
遅延がすごい…
今回は検証としてのテストプレイを実施した結果、体感ではありますがキーやマウス入力をしてから0.2~0.4秒ほどの遅れがある状態です。検証したSwitchが初期型であることも原因かもしれないと考えましたが、コントローラープレイではそこまで遅延は感じられなかったので、VX2 AimBoxの影響が大きいと考えられます。
僕自身FPSをハイスペックなパソコンでプレイしていることもあり、余計に遅延が大きく感じてしまった部分もあるかもしれませんが、「VX2 AimBoxを買えばコンシューマー機でもパソコンを同じようにプレイできるか?」と聞かれれことがあれば、コントローラーよりはプレイしやすいかもしれませんが、パソコンのように快適ではない。という回答になってしまいます。
また、今回コンシューマー機の中ではハードウェア視点で比較的性能の低いとされている初期型のSwitchを使用したことや、普段SwitchでFPSを全くプレイすることがないためヘビーなスペックが要求されるAPEXを選んだことも遅延の原因かもしれません。
「エイムアシスト」はしっかりと残ったまま
コンシューマー機のコントローラープレイ(ステック操作)ではどうしても目標を正確にを狙いにくいことから、目標にレティクルが近づくと磁力のように目標に吸い寄せられる「エイムアシスト」を採用しているタイトルが存在します。今回プレイしたAPEXでもエイムアシストは実装されているのですが、コントローラーでプレイしているときと同様にエイムアシストが働いている動きを確認しました。
VX2 AimBoxをSwitchに接続したときは「USB接続された(充電中の)Proコントローラー」と認識しているようなので、エイムアシストが解除されていなくても不思議ではありませんよね。
これでは遅延があったとしてもコンバーターを使用しているプレイヤーがかなり有利になってしまうので、禁止されるのも納得といった印象を持ちました。
実用まであと一歩!GameSir VX2 AimBoxの使い道を見つけたい
今回はGameSir様からサンプル品をご提供いただいてのレビューとなりましたが、けっこう辛口な評価となってしまいました。最も大きな問題だったのが遅延で、コンバーターの使用が許可されているゲームをプレイしていたとしても、僕個人としては許容できるものではありませんでした。
また、冒頭や記事中盤でもお伝えしたようにコンバーターを使用することででゲームが有利に進んでしまうこともあるため、多くのコンシューマー機での(特にオンラインプレイでの)利用は禁止行為と指定されているゲームタイトルが多いのが現状です。自動エイム(エイムボット)やキャラ移動速度強化(ダッシュ強化)、壁透視(ウォールハック)などの不正プログラムを利用した「ソフトウェアチート」に対して、今回ご紹介させていただいたコンバーターを規約で禁止されているゲームタイトルで使用することを「ハードウエアチート」なんて呼んだりもします。
ゲームを愛しているのであれば、こういった機器は他プレイヤーやゲーム運営に迷惑をかけないように使いましょう。個人的にはFPSタイトル以外でもSwitchやPlayStationでマウスキーボードをつかえる場面は多いと思うので、コントローラーの代わりに使えるシーンを探してみたいですね。