別のページではノートパソコンの現実的なカスタマイズを紹介していますが、このページの内容はかなりマニアックでコアな方向けのページになってます。
基本的にノートパソコンのCPUが低スペックで動作が遅いような状態だと、パソコン玄人であってもカスタマイズは避けて買い替えを検討するケースがほとんどだと思います。
このページでは「ノートパソコンのCPU交換」について解説していますが、正直難易度が高かったり交換不可なケースもあるので推奨できるものではありません。
CPU交換前の注意事項
注意
このページで解説する『ノートパソコンのCPU交換』はパソコンの改造行為に該当し、保証などは一切なくなってしまいます。
また、パソコン自体が故障してしまう可能性もあるため、自己責任で行うようにしてください。
自己責任で行えない場合や、まだメーカー保証などが残っている場合は分解を伴う作業は避けるのが無難です。
ノートパソコンでカスタマイズできるパーツ
さっそくですが、ノートパソコンのカスタマイズ可能箇所はメモリ(RAM)、ストレージ(HDD・SSD)、プロセッサー(CPU)の基本的にはこの3つです。
しかし、CPUの交換は段違いでハードルが高いことと、ほぼ100%の確率で保証がなくなります。性能が確実に上がるという保証もありませので、おすすめはできません。
また、最新世代のノートパソコンは薄型化されておりCPUが基盤に半田付けしてあるモデルもあり、そういったタイプのノートパソコンのCPU交換は不可能です。
今回はSONYの『VAIO VPCF118FJ/W』というモデルのCPUを交換する手順を解説します。
SONYの『VAIO VPCF118FJ/W』には『インテル Core i5-520M』という型のCPUが入っていました。
これがCore i5-520Mです。CPUを交換するには同じソケットのCPUを探さなくてはいけません。基本的には同じIntel製のCPUでも同世代の物でないとソケットの形状が違うためCPU交換はできません。
『CPUの名称+ソケット』で下調べ
『i5 520M ソケット』というワードで検索をかけてみます。
Intelの公式でi5 520Mの技術仕様が公開されていました。
下のほうにスクロールしていくと。。。
ありましたね。対応ソケットを発見できました。
i5 520Mの対応ソケット『PGA988, BGA1288』という2種類の呼び方があるようです。
対応ソケットのCPUをサーチ
『PGA988』というワードで検索をかけてみたところ、
-
- Intel Core i3 380M
- Intel Core i5 460M
- Intel Core i5 450M
- Intel Core i7 620M
- Intel Core i7 740QM
- Intel Core i7 720QM
というラインナップを発見できました。『Core i(3桁)+MもしくはQM』という規格のCPUに交換可能ということが分かります。
末尾英字の意味を確認
CPUにはナンバーと共に末尾英字がついています。
ノートパソコンCPUの末尾英字
- M=Mobile(モバイル)という意味。
ノートPCやモニター一体型PCなどに使用されるCPUです。 - Q=Quad(クアッド)という意味。
正確にはQuad Core(4コア)CPUという意味。
QM=Quad Core Mobileという事になります。物理コアが4コアあるモバイルCPUです。
まとめると
- Intel Core i3 380M (モバイル版2コア)
- Intel Core i5 520M (モバイル版2コア)
- Intel Core i5 450M (モバイル版2コア)
- Intel Core i5 460M (モバイル版2コア)
- Intel Core i7 620M (モバイル版2コア)
- Intel Core i7 720QM (モバイル版4コア)
- Intel Core i7 740QM (モバイル版4コア)
このような意味となります。
交換するCPUを選択
CPU交換をする目的は『性能アップ』なので、いまの物よりも性能が良いCPUを選ぶ必要があります。
CPUは同世代であればナンバー(数字)が大きいものが性能が高いという判断基準があります。
- Intel Core i3 380M (モバイル版2コア)
- Intel Core i5 450M (モバイル版2コア)
- Intel Core i5 460M (モバイル版2コア)
- Intel Core i5 520M (モバイル版2コア)←今の
- Intel Core i7 620M (モバイル版2コア)
- Intel Core i7 720QM (モバイル版4コア)
- Intel Core i7 740QM (モバイル版4コア)
青色のCPUであれば交換で性能の向上が見込めます。
CPUナンバーは同世代で数字が大きいほど性能が高いという特徴があるので、
- Intel Core i5 450M
- Intel Core i5 460M
この2点に関しては同じCore i5でありながら性能が下がってしまいます。
今回の交換対象
- Intel Core i7 720QM (モバイル版4コア)
- Intel Core i7 740QM (モバイル版4コア)
交換の対象となるのは2択となってきます。(ほかのものがあるかもしれませんが、今回見つけた選択肢の中で考えます。)
これでどのCPUに交換すればいいのかはわかりました。
入手性問題
次に問題なのは入手性です。
単品販売は中古でもほとんど入手できません。(目的の物であるとなおさら。)
中古市場に出回っているものでも、壊れたノートパソコンから抜き取ったなどの訳あり品です。お目当てのCPUを探すのはとても困難です。
一部中古品としてフリマアプリなどには出品されているものを見かけますが、動作未確認での販売が多いですね。
販売者が詐欺目的で出品している可能性も低く、元のノートパソコンが壊れてしまって取り出したものであれば動作確認ができないので、致し方ないのが現状です。
最後の難関『適応性』
ここまでの難関はすべてクリアして、無事対応CPUが手に入ったことにしましょう。最後の難関です。
適応性というと難しい言い方になってしまいます。簡単に言えば『熱を逃しきれるか』という運試しに近い挑戦です。
ノートパソコンはカスタマイズ性に欠けるという欠点があり、CPUクーラーを交換できません。よって交換後のCPUの熱をデフォルトのクーラーで冷やせるかという問題です。
当然同世代で高性能なCPUに交換した場合100%の確率で発生する熱量は増加します。先駆者がいない(ネットに情報がない)場合には完全に運試しです。
このページのコメントでもご指摘がありましたが各CPUのTDPで発熱量(使用電力量)で発熱量を判断できる可能性がありますが、同一TDPでも発熱が一定とは限らないようです。
例えTDPが同一で発熱量が全く同じだったとしても、性能が格段に上がる同世代CPUはないと思うので交換のメリットは薄いですね…
ここまでの道のりをすべてクリアしてノートパソコンのコア強化が実現します。
交換できますが、たぶんやめたほうがいい
僕の観点からだと『難易度高すぎ無理ゲー』の上に、恩恵である性能の向上はデスクトップと比べれば微々たるものです。
こんな理由からこのサイトではノートパソコンのカスタマイズ(CPU周り)の解説は必要ないと考えていました。(難易度高すぎですからね)
それでもチャレンジしてみたい人はやってみてもいいかもしれません。
ノートパソコンのCPUを交換することを考えるよりも新しいノートパソコンの購入を検討したほうがいいかもしれません。
費用面、難易度やリスクで見ても新規購入を検討するほうがいいことは間違いありません。
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