現在はGIGAスクール構想で学校でもタブレットやパソコンを用いた学習が一般的となりました。学校での授業はもちろん、自宅学習や課題提出などもパソコンで行う学校も増えてきています。
ただ、“学校用のパソコン”がある中で、自宅で使うためのプライベート用のパソコンを持つべきなのでしょうか?
このページでは中学生や高校生が自分専用のパソコンは必要なのか?また、持たせる場合はどのような注意点があるのかなどを解説します。
中学生 / 高校生にプライベート利用を目的としたパソコンは必要か?
結論から言うと、中学生や高校生でも、自分専用のパソコンを持っていたほうが良いです。
文部科学省が推進している「GIGAスクール構想」では、一人一台にパソコンやタブレットを配布し、教育に活用することを目的にしていますが、GIGAスクールで配布されているパソコンやタブレットは、アクセス制限やアプリケーションが限定されていたりと、プライベートで自由に使用するに少し自由度が低い傾向にあります。
また、GIGAスクール構想で導入対象となるパソコンの下限スペックはWindows機の中で最も性能が低い「Celeron(セレロン)」となり、クリエイティブな用途やゲームはおろか、普通に使用する分でも性能不足となる場合があります。
学校から配布されたデバイスが「Chromebook」や「iPad」の場合は、プライベートのパソコンをWindows搭載パソコンを別で持つことがおすすめ。世の中はまだまだWindowsが中心。
若い年齢からパソコンを持つことで有利になること
スマホやタブレットであれば小さいころから使い慣れている子供も多いと思いますが、日ごろからパソコンをたくさん使うという子供は少なく、現代では減少傾向。
若いうちにパソコンを持つことで得られるメリットのなかから、代表的なものをいくつか紹介します。
「Windowsに慣れる」のは年齢が若い方がいい
ここであえて「パソコン」ではなく「Windows」と表現しましたが、若いうちからWindowsを搭載したパソコンに慣れておくことには大きなメリットがあります。
パソコンといえば「WindowsOS」と「MacOS」、2020年ごろから出始めた「ChromeOS」の3つが代表的なOSとなりますが、OSごとのシェアを見てみるとその差は歴然。
パソコン向けOSのシェア状況(2021年) | ||
OS | 世界シェア | 国内シェア |
Windows | 約77% | 約75% |
MacOS | 約12% | 約14% |
ChromeOS | 約2% | 1%以下 |
その他 | 約9% | 約10% |
国内外でそれほど大きな差はなく【Windowsが7割強】【macOSが1割前後】となり、ChromeOSに関しては使っている人を見つけるのが難しいほどのシェア状況。
学校を卒業して社会人になったとき、会社で使うパソコンは高い確率でWindowsとなるので、絶対に使えるようになっておいたほうがいいです。
もちろん仕事に有利というだけでなく、すべてのパソコンの中で最も汎用性がるのがWindowsとなり、対応していないソフトもほとんどなく、やりたいことができても即実行できるパソコンといっても過言ではないでしょう。
スマホやタブレットに慣れきった状態で大学生や社会人になってしまうと、どうしてもパソコンに苦手意識を持ってしまいます。
小さい頃から触れることで、パソコン(Windows)に慣れる労力が最小限に抑えることができるのです。
また、MacとWindowsの違いを比較しているページも用意しているので、違いが気になる方は参考にしてみてくだだい。
関連:»MacとWindowsの違いを両刀使いの僕が比較してみました。
タイピングの慣れが早いのも若い世代の特権
「タイピング」は現代社会で非常に重要なスキルの1つです。子どものうちにタイピングに慣れてしまえば、大学生、社会人となっても一生役立ちます。
新しいことを覚えるのは年齢が若い時の方が早いので、小さいころからタイピングで文章を打つという経験を習慣化させておけば上達のスピードも速く、労力をかけずとも自然に上達する場合がほとんどです。タイピングに関しては中学生と言わず小学生低学年から練習させておいてもいいでしょう。
逆に大人になってからタイピングに慣れるのはけっこうしんどいです。子供の時よりも疲れを感じるのが早く、大人になってからわざわざタイピングに慣れるために時間を割くことも難しいでしょう。
将来に向けたスキルアップのために、子供のうちから積極的に取り組んでいくことが大切です。
パソコンを使った自己表現や情報収集ができる
現代ではスマートフォンを使って簡単な検索や自己表現が可能ですが、パソコンを使うことで調べ事の快適度をあげたり、自己表現の幅が大きく広がります。
WEB検索などではパソコンとスマホで一度に表示できる情報量が全く違うため、同じことを検索する場合でもより短時間で終えることができ、情報収集の効率が大きく異なります。
スマホでは小さな画面に限られた情報が表示されるのに対し、パソコンでは1つの大きな画面にたくさんの情報が表示されるうえ、複数のタブを同時に開いて情報の取捨選択が可能。さらにマルチモニターで画面を拡張することでより多くの情報の検索や比較を行うことも可能です。
収集したい情報が多岐にわたるほど、パソコンの効率の良さがメリットとして際立ちます。
また、パソコンを使えばプログラミングや動画編集といったクリエイティブ用途も経験することができますし、動画編集ソフトなどの無料化も進んでいるのでパソコンさえあればできることが格段に増えます。
コンピューターリテラシーを学べる
パソコンやデジタルデバイスを安全に使いこなすことを「コンピューターリテラシー」と呼びます。
具体的には、デバイスの基本的な操作方法や、アプリケーションの使い方、ネットワークやインターネットの利用方法、情報の収集・分析・共有の方法、セキュリティに関する知識など、いわゆる「パソコン界の常識」という意味合いとなりますが、可能な限り若いうちに身に着けるべきスキルと言ってしまっていいでしょう。
コンピューターリテラシーを身に着けていないと次のような弊害が起こる可能性があります。
コンピューターリテラシーが身についていないと...
- 就職やキャリアアップに不利になる
- 正しい情報かどうかを見分けられない
- インターネットの危険性を理解できない
- 他者のとデータのやり取りを円滑に行えない
- コンピューターリテラシーの高い人との格差が広がる
など
今の時代はスマホで簡単な情報収集ができるので、パソコンを使ったことがなくても「調べごとができない」とまではなりにくいですが、やはり習慣的にパソコンを使ってリテラシーを身に着けておくことは大切です。
特に、ネットに個人情報を書かない、危険なサイトにはアクセスしない、ネットの情報の正誤を判断するなどはパソコンを使っている時間に比例して肌感覚で理解していくような側面もあります。もちろんスマホでも同じようなトレーニングが必要ですが、パソコンのブラウザでURLを確認するなどの癖がつけば偽サイトなどを見分けるなどのスキルも身に付きます。
パソコン(インターネット)は便利である一方、危険性もはらんでいることを理解するには、実際のパソコンを使う以外で学ぶのは難しいです。
中学生や高校生が自由にパソコンを使う上で心配に思うこと
ここまでは若いうちからパソコンを持つことのメリットを中心にお話ししてきましたが、もちろんデメリットや危険もあります。
スマホとも似ている点も多いですが、自分のパソコンを初めて持ってから時間がたたないうちは危険に気が付けないことも多いのでデメリットを回避するための対策も含め解説します。
個人情報を公開してしまう危険性
現在のネット世界の環境では「何かを発信するときにSNSで実名を出す」くらいまでは一般的で問題のない場合も多いですが、住所などを含め個人情報の公開や書き込みなどには十分に注意させる必要があります。
公開してしまうと危険な個人情報
- 住所
- 電話番号
- 生年月日
- 身分証明書番号
- クレジットカード情報
- プライベートな写真や動画
- 学校名・職場・バイト先
- ログイン情報・パスワード
- 家族構成や親族の情報
など
上げてはいけない個人情報を上げればキリがないですが、特に「クレジットカード情報」などが不意に漏れてしまえば即座に悪用されてしまう可能性があります。ネットに書き込んではいけない情報は事前に共有しておくことや、フォーム等で入力が必要になった場合は、初めのうちだけは親も立ち会うのが理想かもしれません。
そもそも、クレカのような情報は子供に教えない事や、決済が必要になったときにはクレカを渡さない(決済のみ親がする)ことでも漏洩を回避できます。
有害なサイトを閲覧しないかが心配
お子様自身が興味がない場合でも、いろいろなサイトでクリックを繰り返しているうちにアダルトサイトや出会い系サイトなど、有害なサイトにつながってしまう恐れもあります。一見普通のサイトに見えても、情報やパスワードを抜き取るフィッシングサイトや詐欺サイトの可能性もあります。
実際このようなサイトを完全にブロックするのは難しいので、判断の方法などを事前にチェックしておくことをおすすめします。例えば楽天市場のサイトを開いているのにURLが「https://item.rakuten.co.jp/〇〇〇」などになっていなかったり、SSLサーバ証明がされていないサイトの見分け方など、注視すれば判断できるポイントなども多くあります。
ゲームを長時間プレイしてしまうのが心配
パソコンを与えることでお子様がゲームばかりしてしまうのではないかという心配もでてきます。
ゲームのしすぎによる不安要素
- 生活リズムの乱れ
- 視力の低下
- 外で遊ばなくなる(体力の低下)
など
家の中で子供がずっとゲームをしているのを見ていると、「いつまでやってるんだ?」とついつい注意したくなりますが、子供を強く攻めても反発されてしまうと思います。ゲームに限らず、パソコンで行うことすべてに対して、事前にルールを決めておくことが大切です。
安全にパソコンを使わせるために親ができること
パソコンを使ってできることには、ゲームをはじめとする高い依存性を持つものが多く存在します。そのため、パソコンの使い過ぎを防止するために、ある程度の制限を設けておくことが望ましいです。
ただ、お子様の気持ちを理解せずに、ただ制限をかけることは、逆に反発を招いてしまう可能性もあります。子どもたちがゲーム依存症をはじめとした使い過ぎに陥らないようにするためには、親としてできることをいくつか紹介します。
パソコンを使うときのルール作り
パソコンを使う時のルールを決めるのは依存を回避するために大切なこと。パソコンを使う時間や用途など、ルールを作るときにはお子様主導で作ることも検討してみてください。子どもでも自分自身は何がしたいのか、何が楽しいのか、そして何が危険なのかを理解している場合も多いので、親の仕事はあくまでアシストというのが理想で、間違った方向に行かないように見守りましょう。
何が何でも制限を設けるのではなくて、お子様とのルール作りを通じたコミュニケーションも重要です。
パソコンを目の届く場所に設置する
はじめのうちは大人の目の届く範囲でパソコンを使ってもらい、普段からお子様のパソコンの使い方を把握しておくことも大切です。リスクのある使い方をしようとしたときにはアドバイスしましょう。
大人の目が届く場所でパソコンを使うだけでも多少なりともプレッシャーとなるでの、ずっと監視をぜすとも同じ部屋で使っているだけでも効果はあります。
パソコンの使用を通して、使い方、リスクの判断力、回避の仕方を理解し、自制心が育ってきたと感じられれば、「高校生になったら自分の部屋で使ってOK」「徐々に使っていい時間を延ばす」といった約束事をしても良いでしょう。
少しベタではありますが、「パソコンは宿題が全部終わってから!」などのルールは効果的です。
事前にペアレンタルコントロールを設定すれば制限は可能
いざとなれば、事前に「ペアレンタルコントロール」を設定してパソコンに制限を設けておくのも手段の1つです。
「ペアレンタルコントロール」とは?
ペアレンタルコントロールとは、親が子供が使用するコンピューターやスマートフォンなどの機器やアプリケーションに対して、制限や監視を行う機能や手法のことを指します。
具体的には、ウェブサイトの閲覧制限や、アプリケーションのダウンロード制限、使用時間制限、コンテンツフィルタリング、履歴の確認などが挙げられます。
ペアレンタルコントロールによって、お子様が危険なWebサイトや、パスワードやクレジットカード情報が盗まれる恐れのあるフィッシングサイト、ウイルスが仕込まれたサイトにアクセスすることを防ぐことができます。また、ゲームやWeb閲覧の時間を制限して使いすぎることを制限することもできます。
ペアレンタルコントロールに関しては以下のページで使い方た設定方法を解説していますので参考にしてみてください。
関連:»ペアレンタルコントロールの設定方法や効果について解説(ページ準備中です。今しばらくお待ちください。)
中学生や高校生におすすめできるパソコンのスペック
最後に中学生や高校生にパソコンを持たせる場合、どのようなスペックのパソコンを選べばいいかです。おすすめのパソコンのスペックは、ゲームをするか、しないかによって変わってきます。
中高生向けのパソコンスペック |
||
ゲームの可否 | ゲームをしない | ゲームをする |
おすすめの形状 | ノートPC | デスクトップPC |
CPU | Core i5 / RYZEN 5 | Core i5 / RYZEN 5 |
メモリ容量 | 8GB | 16GB |
ストレージ容量 | 256GB | 512GB |
グラフィック | なし (CPU内蔵グラフィック) |
GeForce RTX 3060 |
学業にかかわる方であればパソコンを学割で購入することも可能となるので、学割を適用できるメーカーで購入することをお勧めします。(あらゆるセールの中で学割が最も安く購入できる傾向。)
関連:»学割を使って購入できるパソコンメーカーとおすすめパソコンまとめ
ゲーミングができるほどのパソコンって必要?
中学生や高校生向けのパソコンを購入する場合にゲーミングパソコンを選ぶ必要性があるのか?という論点ですが、これに関しては完全にケースバイケースです。
ゲーミングPCが必要なケース | ゲーミングPCが不要なケース |
ゲームがしたい(ゲーミングPC必須) がっつり動画編集をしたい クリエイティブな用途が好きになってほしい 主に家に据え置きで使う |
とりあえずパソコンの基礎を学んでほしい 持ち運んで使うことが多い ゲームをさせたくない |
最も重要視する点としては【子どもにパソコンでゲームをする許可】をするかどうかです。価格の面で見てゲーミングPCのほうが高いというのもありますが、普通のパソコンとは性能のベクトルが少し異なるので、できることが格段に増えるのが大きな違い。
ゲーミングPCのスペックを活用すれば動画編集やCG制作などができるようになるので、うまく使いこなせば将来に役立つスキルが身につきます。一方、無料でプレイできるゲームタイトルも多く、ゲームで無限に時間を溶かそうと思えばできてしまうのが大きなデメリット。
ただ、ゲーミングPCはゲーム専用機ではないので、SwitchやPlayStation5などと比較すると、できることは格段に増えます。
「ゲーミングPCと普通のパソコンどちらがいい?」と聞かれた場合、自宅にデスクトップパソコンを設置できるスペースがあり、ゲームをしすぎないようにルールを作ってあげられるのであればゲーミングPCをお勧めしたいと思います。
ゲーミングPCを選ぶ場合はマウスコンピューターの「G-Tune(ジーチューン)」、パソコン工房の「LEVEL∞(レベルインフィニティ)」などが性能を並べたときに安くておすすめ。
普通のパソコンであれば「Lenovo」や「Dell」、「HP」などのパソコンが安くておすすめ。国内メーカーに絞るのであれば「マウスコンピューター」がおすすめです。
関連:»【新品限定】性能比で見たコスパ最強ノートパソコンまとめ。
中学生や高校生でパソコンを使えると将来の幅が大きく広がります。
僕は1996年生まれで現在20代ではありますが、2012年の高校入学時に両親にパソコンを買ってもらい人生が大きく変わりました。現在はフリーランスとしてこのようなWEBサイトを運営していますが、パソコンを持つのが大学からだったら、ここまでできなかったと思います。
もちろんゲームをたくさんしていた時期もありましたが、圧倒的にメリットのほうが大きかったです。
パソコンは現代を生きる上でなくてはならない必須ツールですので、できるだけ早めに慣れることで、お子様の可能性をできるだけ広げていただきたいと思っています。中高生のうちからパソコンを自由に使えるようになることで得られるアドバンテージは非常に大きい。
与える場合の注意点も多くありますが、刃物や火のように正しい使い方をすれば何倍も生活が良い方向に変わりますので、正しい使い方やコンピュータリテラシーを身につけて活用できるようになってもらいましょう。