このページではAmazonの「整備済み品」について解説しています。
iPadやMacBookなど、Appleには「認定の整備済製品(Apple公式サイト)」という選択肢があり、Apple製のデバイスを15%程度安く購入できることで有名ですが、大手通販サイトの「Amazon」でも整備済み品を購入できるのはご存知でしょうか?
なんだか定義もよくわからないし、けっこう昔の型落ち品なども販売されているイメージもあるので「大丈夫なの?」と感じている方も多いかと思います。僕のその一人。
- Amazonの整備済み品とはどのようなものか?
- Amazonの整備済み品でおすすめの製品やジャンルはあるか?
- 購入する際の注意点やデメリットなどは何か?
こんな内容で解説していますので、気になっている方は“特に注意点”だけは確認してから安く販売されている商品を探してみてください。
そして、結論から先にご紹介してしまうと、強くおすすめできる商品は少ないと感じました。
公式ページ:»Amazon整備済み品 TOP
Amazonの「整備済み品」とは
「Amazon整備済み品」とは?
Amazonの整備済み品は「Amazon Renewal(アマゾン リニューアル)」とも呼ばれ、再生品、中古品、展示品、開封品などをAmazon認定の出品者が正常に機能する状態かつ新品同様に見えるように検査、修理、クリーニングが行われている製品。
Appleの認定整備済製品の場合は「返品されたもの」もしくは「初期不良があったもの」が大半であるとの表記がありましたが、Amazonの場合は再生品、中古品、展示品なども含まれるので、かなり昔の製品や実際に使い込まれた可能性のあるものも対象ということになりそうです。
「新品同様に見えるように」との表記がありましたが難しい製品も確認できました。傷が大きい場合などは対象外となる規定などがあるのかは不明です。
Amazonの整備済み製品には「最低」180日の保証が付く
最大の特徴として、30日間の通常返品と180日間の出品者保証もしくは180日間のAmazonマーケットプレイス保証が適用されます。
屠蘇いた製品が不良品だった場合の簡単な流れは以下の通り。
購入した整備済み品が「不良品」だった場合 | |
初日 | 製品が到着 (購入日ではなく到着日から計算) |
商品到着から 初日〜30日目まで |
「注文履歴→商品の返品」にて通常返品が可能 |
商品到着から 31日目〜180日目まで |
「注文履歴→注文に関する問題」から適切な返品理由を選択し、 「出品者に問い合わせる」をクリック。 メッセージ送信から48時間以上経過しても連絡がない場合は Amazonマーケットプレイス保証を申請→返品。 |
まず、Amazonの整備済み製品は180日の保証の前に到着から30日目までであれば通常返品が可能です。出品者が「Amazon Renewedのストア」となるので、Amazon出品(パントリーからの出品)の製品と同じような返品の手順となります。
製品到着後31日目〜180日までが「整備済み品の180日間保証」となります。返品方法は表に記載した通りで、出品者によって「返品」もしくは「正常品への交換」の対応となります。出品者との連絡がつかない場合はAmazon側に製品返品することで購入代金が補填されます。
ただ、あくまでこれらの保証は「不良品の場合」に限られるようなので、傷が多かった、バッテリーの劣化状態、必要なくなったなどの理由では受け付けてもらえない可能性が高いです。
出品されている価格は出品者によって大きく異なる
販売している製品の種類やジャンル、発売日からどれだけ時間がたっている物なのかなどで違ってくるので、一概には判断できませんが「ちょっとこの価格設定は高すぎないか?」と感じる製品があります。
また、1〜2年前ほど前の製品で、なぜかメーカーの公式サイトの新品よりも高い製品を発見することもありました。
こちら2020年末に発売されたMacBook AirのM1搭載モデルですが、構成が【メモリ8GB SSD256GB 8コアCPU / 7コアGPU)】となるので、同機種の中では最もスペックが低い最廉価モデルで、いわゆる「吊るしモデル」と呼ばれる構成です。
Apple公式サイトでは発売当時、税込115,280円で発売されましたが、2022年中旬ごろに値上げによって現在は税込134,800円となっている製品です。それがAmazonの整備済み品で163,000円と新品よりも3万円ほど高い価格で販売されていました。
付属品が豪華だとか、特典が付くなどの記載もありませんでしたので、ただ新品よりも高いという意味のわからない状態です。
簡易的なチェックではありますが、直近では新品の価格を下回ったことは一度もないようなので、このようなケースではAmazonの整備済み品から購入するメリットは全くありません。ただただ高い中古品ですね。
整備済み品はわかりやすく表記(他製品との差別化)されている
Amazonの整備済み品は「整備済み製品ではない出品」と差別化できるようにわかりやすく出品されています。
Amazon整備済み品の特徴
- 商品タイトルの最後に「(整備済み品)」の表記がある
- 出品者が「Amazon Renewalのストアを表示」となっている
- 製品の簡易説明欄に「この商品はAmazon整備済み品です。新品同様の再生品、出品者による180日の返品保証付き。」の太字表記がある
- ページ中盤の関連商品上に「Amazon整備済み品とは何ですか?」の緑アイコンの説明がある
わかりやすく商品の販売ページをみながら解説します。
まず、商品ページのトップですが、Amazonの整備済み品を判断できるポイントは3つの赤枠部分です。製品名の最後に「(整備済み品)」の表記があり、出品者の欄が「Amazon Renewalのストアを表示」となっています。最も確実なのは出品者を見ることですね。
少し下の縦長になっている簡易説明のトップには「この商品はAmazon整備済み品です。新品同様の再生品、出品者による180日の返品保証付き。」の太字表記があります。
少し下へスクロールすると「Amazonの整備済み品とは何ですか?」という緑アイコンの説明エリアが設置されています。
整備済み品ではない「ただの中古品」を購入してしまうと当然180日間の保証などはありませんので、ここまで解説した4つの赤枠部分を見て判別してください。
また、Amazon整備済み品のトップページの検索ボックスはあらかじめ「整備済み品」のカテゴリ内を検索できる設定になっているので、今自分が探しているものが整備済み品として取り扱いがあるのかをチェックすることも可能です。
Amazon整備済み品を各カテゴリごとに評価
ここからはAmazon整備済み品のトップページに表示されている各カテゴリごとに「相場に合った価格帯で製品が販売されているか」を個別に確認してみます。
Amazon整備済み品の【ノートPC】
総評としては性能比で安めなノートが多いですが、今風なデザインのものは少ないと言った印象です。
パソコンのデザインを気にしなければ買っても良いと思える製品が多く、詐欺と言える商品ほとんどありませんでした。CPUの世代で見るとIntel第5世代〜7世代あたりのPCが多かったので、6〜8年前のモデルがほとんどとなります。(2024年現在に確認)
怪しいOfficeソフト搭載品がちらほら
気になるのは2万円以下のパソコンにもMicrosoft純正のOfficeソフトが搭載されていたこと。
1世代型落ちの2019年モデルとはいえ、正規で購入すれば「Home&Businessバージョン(H&B)」だと38,000円相当となり、パソコンメーカーのオプションとして購入してもシングルライセンス(ソフト単体)で20,000円程度が相場なので何かがおかしい。
何かしらの不正な手順や企業向けライセンスの使い回しの可能性が極めて高いです。Amazonの公式でちょっとブラックめな取り扱い商品がこうも大々と販売されている実態に驚きました。このような Officeソフトの不正ライセンスについてはこのページの下部で解説しています。
過度な割引でお得感を演出した商品も確認
注意としては、上記の画像のように「215,000円が39,800円で81%OFFです!」のような売り方をしている業者いるようですが、発売当時の新品価格を表示しているだけであって、値引き?前の価格は全く参考になりません。
値引率で検索をかけたりするとお得感がでてしまいますが、そのパソコンの相場を調べてから購入するかを判断してください。
高めなパソコンほどお得感がない
あくまで個人的な見解ですが、50,000円以上になるとおすすめできるパソコンがグッと減る印象です。
Intel第8世代CPUが増えたりと良い面もあるのですが、旧世代パソコンのメモリとSSDを増設して価格が上がってしまったような製品や、元から価格が高いレッツノートが多く、コスパで言えば微妙もしくは高い。5〜6万円出せるならもっと多選択肢が他にあります。
別ページにて厳選した中古パソコン専門ショップをまとめていますが、この価格帯であれば、僕がいつも購入するようなショップをおすすめしたいところですね。
中古パソコンのページ内で販売している中で言えば「Qualit」が保証1年+バッテリー残量80%以上を保証している中古パソコン専門ショップなので、価格も安い分Amazonよりもおすすめ。
Amazon整備済み品の【デスクトップPC】
デスクトップパソコンに関してはほぼ100%が企業向けのリース上がりのコンパクトデスクトップ。
メーカーは主にDellや富士通が中心で、HPやLenovoが少し混じるといったラインナップ。ゲーミングデスクトップの取り扱いは一切なく、事務作業用のデスクトップを探している方が主なターゲットと言えます。
Intel第4世代CPUを搭載したDellのオプティプレックス(モデル名)などが5万円程度で販売されているなど、価格面で見ても全体的におすすめできません。
性能自体は通常の使用には問題ないレベルだと思われますが、筐体やマザーボードを含めると、製品の多くが発売から約10年が経過しており、購入するメリットはほとんどないでしょう。
5万円強でデスクトップパソコンを探すのであれば、HPの省スペースモデル(ミドルスペック)が新品で購入できてしまう価格帯です。
中古でできるだけ価格を抑えたい場合は、ノートパソコンと同様に以下のページで紹介しているショップを参考に選んでみてください。
Amazon整備済み品の【スマートフォン】
取り扱いの約90%がiPhoneですね。中古としては高いです。傷のない新品同様の状態だったとしても「イオシス」のAランク品の方が安いです。もう少し安いものが欲しければBランク、Cランクとランクを落としても十分綺麗なものが届きます。(僕はいつもCランクを優先して選ぶくらい状態は良い。)
Amazon Renewalの再生品の保証は180日でイオシスの保証は3ヶ月(≒90日)となりますが、イオシスには任意で加入できる延長保証も完備。追加の保証を加味してもイオシスのほうが安いです。
Amazon整備済み品の【タブレット】
スマートフォンと全く同じで、取り扱いの約90%がiPadですね。中古としては高いです。同じくイオシスのiPadの方が安いので、価格を見て判断してみてください。古い世代のiPadになると相場よりも高くなる傾向があり、iPad Air 2なんかで言えばイオシスで1万円ちょっとで購入できるのにAmazon Renewalでは3万円以上という差も確認できました。
また、iPadはパソコンの一部として当サイトでも選び方の解説をしています。
関連:»現行モデルと過去モデルのiPadを比較。用途別におすすめiPadを紹介
タブレットに関しては稀に安めなSurfaceが並んでいることがあるので、iPad以外はタイミング次第でお得に購入できるかもしれません。
Amazon整備済み品の【Apple製品】
ここまでiPhoneとiPadの紹介はほぼ終わってしまっているようなものなので、ここでのApple製品は「MacBook、AirPods、Apple Watch」の3つについて解説します。
MacBook | 記事冒頭の写真通り、なぜか新品よりも高いものがある。 もしくは古い製品で相場的には同様に高い。 (リンゴが光るモデルはスペック的に辛い) |
AirPods | 基本的に旧世代しかない。 もう買えない製品なので新品との比較はできないが あえて旧製品をAmazon購入するメリットがない。 バッテリー劣化を測れない仕様なので不安。 |
Apple Watch | 傷がつきやすい製品なので、 傷がなくバッテリーが劣化していなければ価格は妥当。 旧モデルをあえて選びたいならおすすめできる。 |
評価はこんな感じ。
ザッとみた感じでオススメできるのは「Apple Watch」のみ。常に腕に装着して使うので、傷がつきやすいという特性から新品同様(≒傷がない)に見えるものであれば殆ど使っていないものが買えると予想します。
バッテリーも健康なものが買える可能性が高いと判断できるので、そういった意味ではおすすめできます。(Apple Watchは本当にバッテリー劣化で値段が決まると思っていいくらいに重要。)
MacBookに関しては買わない方がいいです。新品よりも高い。ラインナップ少なすぎます。
MacBookに関しても、中古で購入するのであれば有力候補を別ページでまとめていますので参考にしていただければと思います。
関連:»保証つきで中古のMacBookを購入できるおすすめショップまとめ
AirPodsに関しては、安くなっている最新世代がたまたま在庫切れなのかもしれませんが、旧世代のもの(上記の2製品のみ)しかありませんでした。
もう公式サイトでは購入できないモデルとはなりますが、中古と考えると高いです。正規価格は執筆現在で約4万円となるわけですが、せっかく買うならストラップホールやAirTag機能付きのケースを搭載している最新モデルを購入した方がいいです。
ザックリ見てみてわかった注意点
ここまでAmazonの整備済み品(Amazon Renewal)を各カテゴリごとに特徴を見てきましたが、購入する際の注意点をまてめておきます。
即買いレベルの価格設定は少なく、おすすめできる製品も少ない
Amazonの整備済み品は厳密には「中古」ではなく新品同様を謳っている再生品となるので、そのまま中古相場に当てはめてしまうのは違うかもしれません。それでも「安い!」と思えるような製品はほとんどありませんでした。
価格相応もしくは高い製品が多く、ザッと見た感想では安めのノートパソコンと Apple Watchのみ。
もちろん取り扱い製品は一点ものがほとんどなので、見るタイミングが悪かったという可能性もあるかもしれませんが、全体的にはそこまでのお得感は感じませんでした。
値引きの表記はかなり盛られている可能性がある
このように大幅な値引きを勘違いさせるような表示法で販売されている製品が結構多い点には注意です。上記の画像については妥当〜少し高いくらいの相場感かと思いますが、2023年現在では当然21万円の価値はありません。
当時の販売価格なので間違いではないのですが、ちょっとやり方が汚ない。
バッテリーが搭載された製品の劣化状況は不明と考えたほうが良い
バッテリーに関しては「 バッテリー付きの商品は、新品の80%を超えるバッテリー容量で提供されます。」との表記で販売されていますが、バッテリーは使わなくても時間経過でも劣化していくので、10年前のパソコンが未使用で保存してあったとしても無劣化というのはあり得ないです。
ノートパソコンで言えば5〜10年ほど前の製品がメインの取り扱い範囲となっていましたので、全ての商品が80%以上をクリアしているとは考えにくいですね。
Windowsのノートパソコンであれば「Yuryu's Battery Information」というフリーソフトをインストールするだけで劣化度合いを確認できるので、80%を下回っていた場合は返品対応していただけると思います。購入してみて「バッテリーがすぐ切れる…」と感じる方は是非チェックを。
セット購入できるOfficeソフトの詳細が気になる
整備済み品ノートパソコンの解説でもすこい触れましたが、2万円を切るノートパソコンに3万円以上のMicrosoft Officeが付いてくるのは少し裏がありそうです。正直、正規品であれば Office目的でパソコンを購入してもいいくらいに安いです。
パソコンについて詳しい方ならば予想はつくかもしれませんが、おそらく「法人契約のボリュームライセンス」にて契約された余りのようなものがくっついているんだと思います。
このボリュームライセンスは企業がパソコンをメンテナンスする際にOfficeをインストールし直すことも考慮して契約数よりも多いライセンスが付与されるそう。基本的には Officeソフトを開いて「ファイル」→「アカウント」からライセンス情報を確認し、
Microsoft Office Home&Business Plus 2019
のように、製品名称に「Plus」と入っていれば企業向けライセンスの不正使用の可能性が高いです。契約元の企業が契約をやめてしまえば、同時に使用不可となります。このような Officeが入ったパソコンを購入してしまって使っているだけでは実害がないかもしれませんが、使っていて気持ちがいいものではりません。
よって整備済み品Office付き格安のノートパソコンも当サイトからのおすすめはできません。(自己責任でお願いします。)
Amazonの整備済み品は全体的に微妙かも
Appleの整備済みと比較しようと価格調査のような気持ちでリサーチを始めたのですが、Amazonの整備済み品はちょっと闇深いなと感じてしまいましたね。
いずれにせよ、強くおすすめできるものは少なく、新品同様かも怪しくなるレベルでした。ただ、これは「Amazon」という通販サイトが悪いわけではなく、認定の出品者が利益重視で出品しているように見えます。
Amazonの整備済み品をよりは、頃合いの中古を選んでおいた方が得する機会が多い気もします。